第19113号 國民新聞 平成18年4月25日(火曜日)米国でも猛威ふるう中国宴会外交の罠ジャーナリスト 大高 未貴日中友好七団体の代表団・団長として北京入りした橋本龍太郎元首相は、三月三十一日、胡綿濤国家主席と会談した。
胡綿濤の「日本の首相が靖国神社参拝中止宣言すれば、日中首脳会談は直ぐに可能」とする恫喝的発言に対して、橋本元首相は、特段の反論をすることなく、まるで子供の使いのように「おっしゃる通り、帰って小泉首相に伝えます」と答えた。
橋本首相時代に日本の対中ODAが急増し、同時に橋本首相が中国の情報機関に属する女性と不適切な関係を持ったことも周知の事実である。世界の外交の裏社会ではこれを″
ハニートラップ”と呼ぶ。
その典型が昨年暮、表沙汰になっな上海総領事館員の自殺だ。この領事館は中国女性と男女の関係になり、それをネタに中国の情報機関から日本の機密情報提供を迫られ「これ以上は国を売ることになる」と遺書を残して自殺した。
この三月初め、日中東シナ海ガス田開発共同協議で”煮え湯”を飲まされた媚中派の二階博経済産業相が″ハニートラップ″の洗礼を受けたかどうかは知らないが、それに負けず劣らずの友好親善の歓待マジックを浴びたことは想像に難くない。
なにしろ二階経済産業相は就任と同時に、政府が認定した帝国石油の東シナ海試掘権を凍結した上で訪中。温家宝首相との親交を深めた後に、この協議に挑んだのだが、中国側は「日中中間線付近は中国独自の開発とし、新たに日本の領域内である朝鮮半島に南海域と、尖閣諸島周辺を共同開発の地点とする」と提案してきたのだ。」こういうのを顔に泥を塗られたというのである。
ところで中国の度を越えた歓迎や"ハニートラップ″に引っかかるのは日本の政治家ばかりかと思っていたら、どうやらそうでもない。
三月二十七日付のへラルド・トリビューン紙によると、長年、対中貿易で赤字を抱え、「中国が人民元切り上げをしないのなら、中国の輸入製品に対して二十七%の特別関税をかけるべきだ」とアメリカ議会で主張してきた対中強硬派の二人の議員ニューヨーク州のチャールズ・シューマー・民主党とサウスカロライナ選出のリンゼイ・グラハム・共和党)の意思が変化し、アメリカ議会の足並みが揃わなくなったという。両議院とも「この問題は四月に胡綿濤国家主席が訪米した際にブッシュ大統領の出方に任せる」と間題を先送りしてしまった。ニューヨーク・タイムズも「法案の提出をしばらく持つ」というシューマー議員の言葉を伝えている。
一体、対中強硬派議員に何が起こったのか。その謎を探る鍵とは、三月二十四日付のヘラルド・トリピューン第一面にある。「何故中国は米国議員を赤絨毯接待で迎えたのか」とあり、「中国のグローバル・タイムスというタブロイド紙は、『アメリカから人民元切り下げ要求など対中強硬派の二人の議員が訪中したが、彼らは中国の実態を見て考えを改め前向きなメッセージを投げかけてきた。百聞は一見にしかずで、中国について偏見を持っていたとしても北京に来ればそれはあらたまる』と書いてある。ちなみにこのタブロイド紙は北京政府のプロパガンダ紙で、常に日本の中国における戦争犯罪やアメリカの覇権主義などを書き立てている新聞」という文章から始まり、二人の議員の訪中にあたって「北京政府が迅速に対応し、続々と政府高官が彼らと会談の時間を持ち、豪華絢爛な晩餐会では、シューマー氏に『言葉にできないほど素晴しい!素晴しい!』と感嘆の声をあげさせた」と報じている。まさに国賓級の待遇だ。
また、「グラハム氏は『我々の訪中の期間、十三億人の人民達が皆、街の外に出かけてしまったかのようだった』とジョークで北京の緊張感を伝え、シューマー氏は『訪中は我々にとってゴールデンタイムであった。北京政府も正しい選択をしているようなので、いずれ彼ら自身の手で問題解決をするようになるだろう』という言葉を残して北京を去った」とし、ヘラルドトリビューン紙は、中国の赤絨毯接待について以下のように分析、批判している。「北京の意図は簡単だ。人民元切り上げや二十七%の関税などが適応されれば、国内の経済事情が収拾つかなくなるから、なんとしてでも対中強硬派議員を丸め込む必要があった」 アメリカ人といえども、田舎者の議員が中国式宴会外交の罠にはまるのは簡単なことだったのだ。エドガー・スノーが毛沢東の誇大宣伝にころりと騙され『中国の赤い星』を書いた経緯は、ユン・チアンの『毛(マオ)』に詳しい。 また、知り合いの情報関係の中国大使館員は、日本の右翼団体を大同団結させて、香港経由で北京に接待し、それ以降、中国大使館への右翼の街宣活動を激減させたという。つまり、「目的達成のためなら、いかなる謀略や陰謀もすべて正当化される」という共産主義のテーゼと、中国人の生き方、メンタリティーはぴったりと一致するのだ。それはDNAといっても良いほどのもので、決して舐めてはいけない。
北京式接待は何を隠そう、この私自身も経験している。八年前、リュック一つで中国からイスタンブールまで、陸路のシルクロード横断旅行をした時のことだ。西安からウルムチまで無事に旅をするため、当時、中国外交学会にいたS氏に旅の便宜をはかってもらったときのことだ。
驚いたのは北京空港に高級外車が迎えにきたことだ。それは北京の武装警察のトップの車で、車の上にパトカーのように赤いランプをつけて警笛を鳴らしながら空港から北京市内までの道を、他の車を蹴散らかしながら大爆走。ヒヤヒヤしている私に向かってC氏は誇らしげに「いかがですか。これなら速いでしょう。北京の特権階級は渋滞知らずです」と自慢したものだ。最近S氏の部下だったC氏に会ったら「どうぞまた北京に来て下さい。中国の偉い人をご紹介しますし、北京に
イケメン(ハンサムな男)クラブもご案内します」と冗談ともつかないような口調で微笑んだ。私のような無名の女ジャーナリストにすらこんな待遇を演出するのだから、ましてや日本やアメリカの政府高官、大メディアの記者ともなれば、どんな接待を受けたかは推して知るべしだ。 『暗黒大陸 中国の真相』の著者、ラルフ・タウンゼント氏はその序文でこう書いている。「外国人ジャーナリストが来ると、すかさず中国政府の高官と会見の場を設けられる。こういう待遇を受けて舞い上がらない人はいない。そこで手玉にとられ、高官の言う通りに(様々の善政や改革を)手帳に書き込む。しかしこれは全てホラ話である。真顔でホラを吹いて柏手を納得させてしまうのが典型的な中国人役人である」 なんと、この本が書かれたのは一九三三年である。七十年前に、アメリカの一外交官が喝破した中国人の正体を、
現代の日米の政治家、ジャーナリストの多くが見抜けないのは、なんとも情けない限りだ。

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